小説

電車で読んだことを激しく後悔した。――『汝、星のごとく』、魂が震える至高の愛

ずっと前から読もうと心に決めていた一冊でした。 以前読んだ『流浪の月』で、言葉にならないほどの衝撃と感動をもらってから、凪良ゆうさんの描く世界には絶大な信頼を寄せていたからです。先にこれだけは言わせてください。 もしこれからこの本を手に取る...
小説

絶望の地下から響く、生還へのロードマップ。――『アリアドネの声』がくれる「やり直す」勇気

最近、私はどっぷりとミステリーの沼にハマっています。 ただ、これまでは「凄惨な殺人事件が起き、犯人をロジックで追い詰める」といった、冷徹な作品ばかりを読んできました。そんな中で出会った本作『アリアドネの声』は、私に新しいミステリーの扉を開い...
小説

熱狂か、搾取か。――本屋大賞受賞作『インザメガチャーチ』が暴く「推し」のディストピア

普段、私はカバンに入れて持ち運びやすい「文庫本」を好んで読んでいます。しかし、どうしても我慢できず、久しぶりにハードカバーを手に取って一気読みしてしまった作品があります。それが、朝井リョウさんの『インザメガチャーチ』です。 現代の「推し文化...
小説

5万年前の死体が語る、究極の宇宙ミステリー。――『星を継ぐもの』

ずっと気になりつつも、「海外の翻訳小説は少し苦手だな……」と敬遠していた一冊がありました。 しかし、映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を観てSF熱が最高潮に達した今、ついに重い腰を上げてページをめくりました。SFの金字塔と呼ばれる名作、...
小説

夜空は、どこにいても繋がっている。――『この夏の星を見る』で踏み出す一歩

​今回読んだ作品は辻村深月さんの「この夏の星を見る」です。辻村深月さんの文体は、いつも私たちの心に寄り添うような温かさがあります。 本作を読み終えて真っ先に思ったのは、「これは映像でも観てみたい!」ということでした。星空が主題である以上、ス...
新書

AIにはできない「推論」の力。――『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』

大学時代に言語学を学んでいた私にとって、今井むつみさんの著作はバイブルのような存在でした。先日、偶然本屋でそのお名前を見かけ、運命を感じて手に取ったのが本書です。人間を人間たらしめている「認知」の仕組みを知ることは、これからの時代を生きるた...
小説

「尽くす」という名の暴力。――『恋愛中毒』に学ぶ、自分の人生を取り戻す方法

久しぶりに「恋愛もの」が読みたくなり手に取った一冊。しかし、そこに待っていたのは甘い休息ではなく、心を激しくかき乱される「衝撃」でした。山本文緒さんの『恋愛中毒』。 過去の失敗から「他人を愛しすぎない」と誓ったはずの主人公・水無月が、奔放な...
新書

「何を書くか」に迷うすべての人へ。――『話が面白い人は本をどう読んでいるのか?』

ブログを始めて10冊目。節目の今回ご紹介するのは、私がこのブログを始める大きなきっかけをくれた三宅香帆さんの新著、『話が面白い人は本をどう読んでいるのか?』です。この本は、テクニックとしての「読み方」というより、本の内容をどう捉え、どう咀嚼...
小説

犯人を捜せば、全員死ぬ。――『十戒』が突きつける「探偵禁止」の絶望

衝撃の結末で話題をさらった『方舟』。その興奮も冷めやらぬ中、夕木春央さんのミステリー第2弾『十戒』を手に取りました。今回も、私たちの予想を無残に打ち砕く「まさかの展開」が待っていました。あらすじ:島を支配する「十の戒律」舞台は、リゾート開発...
小説

木漏れ日の中で読みたい、数式と愛の物語。――『博士が愛した数式』

今回ご紹介するのは、第一回本屋大賞にも輝いた名作、小川洋子さんの『博士が愛した数式』です。私にとって、本作は初めての「純文学」への挑戦でした。どこか難解なイメージがあって避けていたジャンルですが、実際に触れてみて、自分自身の「読書の好み」を...